こんにちは。かわぐつのケンです。
今日は僕が製靴を始めてから今までに作ってきた靴を紹介します。
僕は2019年の11月から本格的に靴を作り始めました。
靴修理のアルバイトはしていたので、
ヒール交換やオールソール修理はかなりの足数をこなしてきましたが、
一からすべてを自分で作るというのは未知の世界でした。
素人ながら革靴について得た様々な知識はありましたが、
いざ自分で作り始めてみると今まで気づかなかったことや知らなかったことだらけでした。
そして今なお、製靴の世界は新たな発見の連続で刺激的です。
ということで二年弱経った今改めてこれまでの靴を振り返ってみたいと思います。
今回は1足目から10足目まで!いきますよ~
作った靴たち
1足目
記念すべき1足目は少し変わったダービーです。
通常の外羽根の鳩目に靴紐を通すのではなく、別パーツを乗せてそこに靴紐を通しています。
靴紐がX字になって主張していますね。
ヴァンプ部分には浅めのU字のステッチラインを入れています。
革はアノネイ社の型押し革なんですが、あえて染料でシミをつけてロシアンカーフみたいな表情をだしてみました。
初めての靴だったのでデザインを考えるのが楽しくて楽しくて、、
無駄に色んなことを盛り込んでしまいましたね(笑)
2足目
2足目は失敗作でして(笑)
ロングノーズな木型にあえてサンドベージュのスエードを使うことで
大人なリラックス感出てイケてるんじゃない?
って思ったんですけど。(まあそれはそれで間違いではないと思うんですが)
- まず木型が微妙だったこと(既成木型)
- サイズが合わなかったこと
- 製甲が下手
- 色々へた
ということで作ってる間は楽しかったんですが、
作り終わってもあんまり満足いく出来ではなく、微妙な気分になってしまいました(笑)
でも確実に技術の上達には貢献してくれました!
3足目
自宅を工房化して最初に作った靴です。(前2足は靴教室にて製作)
そして最初にYouTubeに靴づくり動画をアップした靴です。
深緑色の(革の色名は糸杉色)ホースレザーをつかった3アイレットダービーです。
完成時に緑のグラデーションになるようパティーヌも施しました。
(言わずもがなコルテのアルカをイメージしてます)
自分なりに様々なやり方に挑戦してみた靴で(木型も初の自作のものを使用)思い出深いです。
木型を抜くときに、なんとアッパーの一部が少し裂けてしまうというアクシデントがあり
血の気が引いたのをよく覚えています(笑)
4足目
またまたホースレザーをつかったフルブローグ。
イタリアのホースレザーで、お尻のあたりに一部コードバン層っぽい部分が小さくあったので
そのあたりを中心に革を裁断して作りました。
皺の入り方はコードバンに似たものを感じます。
(実際にはコードバン層として成り立つほどの面積も密度もないんですが、おそらく馬のお尻には農耕馬に限らずコードバンになりかけの部分があります。)
見よう見まねでベヴェルドウエスト、フィドルバックに挑戦し半カラス仕上げもやってみました。
このあたりからだいぶ本格的な靴っぽい雰囲気が漂ってきたかも、という印象です。
5足目
ビンテージの木型を中古で入手して、片方だけ作ってみた靴です。
アッパーのラインやディテールをビンテージらしく作ってみました。
出し縫いをするときに針の使い方が下手くそで針を折りまくって絶望した記憶があります。(笑)
(針は高価なうえに、購入した後実際に使えるように研がないといけないので折れると結構大変なんです)
6足目
はじめて自分以外に作った靴です。父親に作りました。
足の採寸もよくわからないなりに行い、父親の足に合わせて木型を調整して作りました。
完成して履いてもらう時の「履けるかな、大丈夫かな。。」という不安感はすごかったですね(笑)
結果はよかったようで今も履いてくれています。
7足目
友人に初めて作った靴です。
ハンドソーンでガッツリドレスな靴をもっとたくさん作りたいと思っている頃。
デザイン的にあんまりコバの張り出しがないのが欲しいとのこと。
それならマッケイかな、と思いつつ何か変わったことをしたい。
じゃあもう思い切って振り切ろうと思いまして。
パンプスに使われる専用の伝統的な底付け、パンプステッチというやり方に挑戦しました。
とはいっても情報が少なすぎてどうやっていいのかわからなかったのですが、
少ない情報から推測しながらなんとか靴を完成させました。
すごく簡単に説明するとソールとアッパーどちらにも糸を貫通させないで縫い付ける方法なんですが、
めちゃくちゃめんどくさくて縫いづらかったのでもうやりたくないです。(笑)
8足目
自分用に作ったサンダルです。
サンダルとはいっても結構足を覆う面積が大きいのであんまり涼しくはないです。笑
ただ脱ぎ履きが超楽なので(あとゴム底なので)もっぱら車を運転するためのドライビングシューズと化しています。
そのおかげで夏冬関係なく履く回数がかなり多いです。
革はアザラシで、模様が特徴的です。
9足目
アノネイのネイビーの型押し革を使ったUチップです。
スプリットトウ部分を少し長めに、エプロン部分を短めに設定。
履き口回りとエプロン部分にパイピングを施しています。
イタリアの雰囲気をイメージ
べヴェルドウエストを本格的にやったのでかなりウエストが細いです。
10足目
アップルピールブローグ
アップルピール、つまりリンゴの皮です。
リンゴの皮を剝くようにアッパーの革が木型をぐるっと螺旋状に巻いています。
ジョンロブパリのイヤーモデルで過去二回発売されているアップルピールですが、
それを超えることを目標に、内側のみのサイドエラスティックにすることで完全な一枚革を実現しました。
(ジョンロブは羽根の片方のパーツが分離している厳密には二枚革パターン)
ミュージアムカーフで製作。
次回は
以上10足目まででした!
作っている感覚としては3,4足目あたりと9,10足目あたりがステージアップの段階だったなというのがあります。
この10足目を作り終えたのが2020年の8月8日なのでちょうど一年前ですね!
3足目と10足目の一部始終の動画を貼っておきます。
次回は11~20足目までを紹介したいと思います。
ではまた。
コメント
コメント一覧 (2件)
いつも楽しく動画見させて頂いてます(*^^*)
ケンさんの靴作りの歴史を振り返ることができ、博物館を回っているようでした😁
わからないなりに挑戦する姿勢が素晴らしいです!尊敬します!
ありがとうございます!この頃のを振り返ると我ながら上達したなあと感じます笑
11足目以降もお願いします!