こんにちは。かわぐつのケンです。
この記事では今回製作したNo.009 Rothko Derbyの完成レビューをお届けします。
No.009の抽選応募フォームはこちら↓(応募締切は11月20日23:59まで。当選発表は25日頃を予定)
https://docs.google.com/forms/
今回展示する靴はNumbers Collectionはすべて抽選を行いまして、当選された方がご購入いただけます。No.007~014すべてにおいて以上の通りです。
その他のナンバーズコレクション2022の完成はこちらから↓
Khish No.009 Rothko Derby
No.009
Rothko Derby
¥288,000
サイズ : 25cm UK6.5相当
アッパーマテリアル : コードバン(イタリアムラ染)
ソール仕様 :
ハンドソーン製法
シングルソール
インサイドベヴェルドウエスト
シューツリー : 3ピース
この靴はこの素材を使いたいがために作りました。
アッパーの革はイタリアSHELL CORDOVAN TOSCANA ITALYの
ROTHKO CORDOVAN
抽象画家マーク・ロスコをフィーチャーした革です。
マーク・ロスコは油彩を何度も塗り重ね巨大なキャンバスに色の帯を描くという画家ですが、
ぱっと見では何とも単純に見える絵も、実物をじっと見つめていると色合いに深みが出てきて不思議な感覚になるそうです。(僕は実物は見たことがありませんが)
この革はそういった色の深みみたいなところに着目して名付けられたのでしょうか、非常に大胆なムラ染のコードバンです。こういったムラ染の革は、革の平坦な状態から、裁断時、吊り込み時、完成時と印象をどんどん変えていくので、完成形を最初にイメージすることがむずかしい一方、どんなものができるんだろうというワクワク感もまた大きいのです。
ところで、僕は靴のデザインを考えるときに、デザインから入るパターン、革から入るパターン、イメージから入るパターン、木型から入るパターン、ディテールから入るパターン、、、など色々な場合があります。
この靴はもちろん革から入るパターンです。
したがってこの革が最も生きるだろうデザイン、ホールカットダービーを製作することにしました。
もちろんこの革のポテンシャルは様々なデザインにマッチすると思いますが、初使用として最もふさわしいのはこのデザインでしょう。
前置きが長くなりましたがディテールを紹介していきます。
羽根の部分のみ(見えないけどタンの部分も少し)継ぎ目があり、他は一枚革を贅沢に使ったデザインです。
一枚でつま先からかかとまで大きく革をとるので、靴がキャンバスの役目を果たし、マークロスコの色の帯を想起させます。
羽根の付け根の部分は手縫いの縫い割です。革が少し凸凹し、つなぎ目でぷっくりするので肉厚なコードバンの質感が際立ちます。
色合いはコニャック。靴としてはカジュアルなものになるので、履き口トップラインにはパイピングです。
トウシェイプは縦に立体感のあるラウンド。ムラ染によりつま先の色が薄くなっています。
踵は縫い割ドッグテールです。この部分は是非動画を見てほしいですが、コードバンの繊維方向によって見る角度を変えると色が変わります。これはマークロスコには出せない表現!
ソールはアッパーと打って変わって、とてもシンプル。内側のみウエストを絞ったインサイドベベル。
底面はナチュラル仕上げです。
最後にシューツリ―もソールと同じくとてもシンプル。3ピースタイプにニスを塗って仕上げたもので、木目がキラキラ光ります。
磨きはBriftHの新井田さんにお願いしました。ムラ染めの色に合わせて箇所に沿ってワックスを使い分けながらさらに深みを出しつつ光沢を出したそうです。つま先からかかとにかけて走る一筋の光のラインが美しい。
元々光沢感の強いコードバンという素材をさらに上のレベル、宝石レベルに仕上げてくれました。
ロスココードバンを前面に押し出し、それ以外はすっと引いたロスコダービー。
飾りたくもなりますし、エイジングも楽しみたくなる、僕の手元からはいなくなってしまうのになぜか悩んでしまう靴です。
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