こんにちは、かわぐつのケンです。
本日も過去に製作をしたビスポークシューズを4足ご紹介します。
それぞれ個性豊かな仕上がりですので、ぜひ最後までご覧ください!
1足目:ショートウィングアデレード
まずご紹介するのは、ツキノワグマの革をアッパーに使用したショートウィングアデレードの靴です。

牛革やヤギ革とは異なる、独特のシボ感と毛穴が印象的です。
一般的にこのような野生動物の革は、カジュアルな外羽根デザインに用いられることが多いですが、今回はドレッシーなショートウィングのアデレードに仕立てました。

ツキノワグマの革はタンニン鞣しであるため、経年変化によって艶が増し、味わい深い表情に育っていきます。

セミスクエアのチゼルトゥと、足に合わせて設計された木型によって、エレガントでありながらも個性が際立つ一足です。

赤色のライニングを採用し、黒のアッパーとのコントラストが美しい仕上がりとなっています。

ツキノワグマの革やショートウィングアデレードのデザインなど、とても個性的でオーダー品らしい革靴が仕上がりました。
2足目:Vフロントプレーントゥダービー
次にご紹介するのは、非常にシンプルかつ実用性を重視した一足です。
デザインは3アイレットのVフロントプレーントゥ。
外羽根の開き方がV字型になることで、ドレッシーな印象を持ちながらも、カジュアルな着用にも適したバランスの良いデザインです。

素材にはフランス製のスコッチグレイン型押し革を使用し、傷が目立ちにくく、日常使いに最適です。
ソールはラバーを選択しており、雨の日でも気兼ねなく履くことができます。

なお、ラバーソールは機械による出し縫いとなりますが、それ以外の工程は通常のビスポークと変わりません。

ガシガシ履くことができる実用性重視の仕様にすることも、足に合わせて1から作るビスポークだからこその選択です。
見た目の美しさと実用性を両立した仕上がりとなっています。

こちらのお客様にはアッパーと同じ革でベルトもお作りしました。
ベルトと靴の色味はやはり合わせたいものですが、同じ革、しかも同じ個体の革ですのでこれ以上ない組み合わせです。

Khish the Workのビスポークでは、MTOで選択できる通常ラインナップの革以外に、100種類を超える豊富な革を取り揃えております。
このようにベルト、シューホーン、財布といった革小物も同じ素材でお作りすることが可能なので、ぜひご検討ください。
3足目:レディースのショートウィング
3足目は、女性のお客様に製作した非常に小さなサイズ(約21cm)のショートウィングです。
赤茶系のボックスカーフに、白い三重ステッチを施し、可愛らしい印象を強調しています。

外ハトメや幅の広いリボン風のシューレース、またマッケイ製法による屈曲性の高さも特徴です。
マッケイ製法は、構造上ソール部材を薄くすることが可能なため、柔らかめに仕上げることができます。
当然男性、女性、背格好によって筋肉量や体重が異なるため、このような特徴のあるマッケイ製法は小柄な女性の方には特に適していると思います。

革靴はサイズの大小よってデザインのバランスが変わるため、今回は羽根の穴の数は3つに抑え、すっきりとした印象に仕上げました。

紳士靴では表現が難しい色使いやラインを楽しめる、レトロな雰囲気の一足です。

4足目:コンビバルモラル
最後にご紹介するのは、非常に重厚で存在感のある一足です。
コンビの靴で、二種類の黒色の革を使用しています。
1つ目は黒桟革(くろざんがわ)という漆塗りの革です。
表面の凹凸の突起部分に漆が施されており、光を受けると繊細に輝きます。

もう1つはイルチアのラディカ(ミュージアムカーフ)の黒を使っています。
室内では普通の黒いスムースレザーにも見えますが、陽の光に当たると墨色のような淡いムラ感があることが分かります。

この2つの革から、どことなく和の雰囲気も感じられる一足です。

デザインは内羽根バルモラル。
つま先にはダイヤモンドキャップを配しています。
スクエアチゼルトゥが印象的で、全体的にストイックで洗練されたシルエットとなっています。

こちらの靴はアッパーの製作動画がYouTubeにアップされていますので、ぜひご覧ください!
また、アッパーに使用した黒桟革を作るタンナーの坂本商店さんを訪問した動画もありますので、そちらもどうぞ!
最後に
今回ご紹介した4足のビスポークシューズは、それぞれの素材・デザイン・履く人の個性を反映したものばかりです。
オーダーの際には、完成形をイメージしながら、素材やデザインをご提案していますが、実際に形になった時には毎回新たな感動があります。
ビスポークは凝った一足も魅力的ですが、日常的に使えるシンプルな靴もまた価値あるものです。
ご希望やライフスタイルに合わせて、最適な一足をご提案いたします。
今後も丁寧な靴作りを続けてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします!
それでは、また。




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