靴作りの刃物

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こんにちは。

靴作りでは色んな道具を使いますがその中でも今回は刃物を紹介します。

靴の完成度は刃物が決めるといっても過言ではないほど重要です。

以前こちらの動画でも紹介してますのでよかったら見てみてください!

目次

刃物の種類

靴職人の刃物
色んな形の刃先

かなり味の出た使い込んだ刃物たちです。刃先の形状も色々あります。

革包丁と言われ、レザークラフトでも使うようなものから靴作り専用のものまで色々です。

これだけ数並べましたが実際にこんなに使ってません(笑)

実際出番があるのはこれだけ。

実際に使う刃物

左から革包丁4本、面取り包丁、チャンネルナイフ、小刀、カッター

の8本を僕は主に使ってます。

詳しく紹介していきます。

革包丁①

河清刃物工業の革包丁

刃先は四角い形状をしていて片刃になっています。レザークラフトなどにもよく使われる革包丁です。

片刃
清玄 青紙付

僕が最初に買った包丁で河清刃物工業というメーカーのものです。

切れ味が落ちないものがいいなと思って色々調べていると、鋼の種類が青紙というもので、さらにその中でも青紙スーパーというものが一番硬く、切れ味が落ちにくいということを知りました。

(白紙という柔らかめのものもあったり、青紙の中でも青紙1,青紙2等あります)

この包丁は模様がかっこよく、硬い青紙スーパーということだったのでネットで買いました。

硬いということは切れ味も長続きする一方研ぐのも硬く研ぎづらいということで、最初の方はなかなかうまく研げず、

「なんだこの包丁、全然切れないな」

と道具のせいにしておりました(笑)

今では研ぎの技術も上がり、切れ味も大変よくなりました。

靴作り作業全般に大活躍してくれる相棒的包丁です。

革包丁②

かね惣の包丁
かね惣の銘

二本目に購入した浅草「かね惣」の包丁です。

前述した一本目の包丁は少し幅広でした(36mm)

もう少し刃幅が狭くて細かい作業がやりやすいものが欲しいと思い、浅草の仲見世通りすぐ脇にあるかね惣にて購入。その場で研いでくれて、研ぎの話も色々聞けて良かったです。

▼かなり前のものですが、かね惣に行ってきた報告動画

切れ味も良く刃幅、厚みもちょうどよく大活躍しています。

(ちなみにこの動画と比べると現在の包丁は何度も研いでいるので少し短くなってるのが分かりますね)

一本目と二本目の刃幅

一本目と重ねると刃幅の違いが分かります。

コバや積み上げを整えるなどの細かい作業をするときは幅が広いと邪魔になります。

一方で芯材を漉いたり積み上げの平面を出したりするときのような、広い面を均等に薄くするみたいな作業は幅広の方が作業効率がいいし、精度も上がります。

包丁③

東京特製 30mm

靴職人の引退品ということでヤフオクで道具箱ごと十数本まとめ売りされていた革包丁。

詳しくはよくわかりませんが東京特製 30と書いてあります。

よくわからないけど東京特製30

こちらもよく切れますが刃の厚みが薄い&柔らかめ(な気がする)のでソールをガンガン切ったり負荷をかけると割とすぐ鈍ります。

ただ刃が薄いので漉き作業の微調整などにはとてもいいです。たぶん青紙です。

▼道具箱と包丁セットの動画

革包丁④

東京特製 仲次 36mm

こちらも前述のものと同じくヤフオクでまとめ売りされていたうちの一本です。

東京特製 仲次 36mmと書いてあります。たぶん青紙。

これも刃の厚みが薄く、耐久性に欠けますが幅広ということもあり漉き作業には抜群にいいです。

特に活躍するのがドブ起こし(靴底の縫い目を隠すための靴底の革の表面をスライスしてめくりあげる作業)です。

特にオークバークの硬いソールでは厚みのある包丁では抵抗が強すぎて刃がなかなか進みませんし、

土踏まず部分はドブ起こし幅を広くとらないといけないため、この幅広の刃が生きてきます。

包丁の厚み

ちなみに厚みはこんな感じで左から③、④、②、①の順です。

③と④が薄いのが分かります。

小刀

かね惣 小刀

こちらは浅草かね惣で購入した小刀(と呼ぶのかはわかりません)です。

革包丁ではやりにくい奥まった場所の作業を行うために、細い幅で斜めの刃のナイフを買いました。

イギリス系の工房では革包丁は使わずにこの斜めのナイフを使うことが多いみたいで、シューメーカーナイフとも言うようです。

裁断やコバ作業、漉き作業まで全部これでできるみたいですが(幅が色々あります)僕は慣れてないためあまりうまく使えません。

刀身をそのまま持って使う

つき面取り包丁

つき面取り包丁
左側にガイドがついている

刃の先がカーブしていて片側にガイドがついている包丁です。突いて面取りする包丁、つき面取り包丁です。

ヤンキーウェルトナイフとも言うっぽいです。

主に積み上げヒールの上部、アッパーとの境目を整えるときのみ使っていますが、ガイドがついているので、アッパーを切らずに積み上げだけカットすることができます。

かなり局所的な使用ですが必要不可欠な道具です。

チャンネルナイフ

チャンネルナイフ

ハンドソーン製法の靴の中底のリブを作るためだけに使うナイフです。

先端形状が特殊で、こちらもガイドがついていますが、前述のつき面取り包丁と形状が異なります。

左のガイドと右の刃
正面から

中底のリブの段差を作るためにガイドと刃に段差がついています。

この刃とガイドの段差が、中底のリブの段差を作ります。

このナイフは無くても革包丁だけでも作業はできますが、これを使うと速く正確に作業ができます。

▼こちらの動画で作業しています。

カッター

グランツ カッター

僕はかなりカッターもよく使います。これはグランツというカッターで、型紙や革の裁断、ソールのカットまで、かなりの頻度で使っています。

普通のカッターは刃とケースの間に隙間があるので、力をかけて物を切ろうとするとその隙間によって刃がぐらぐらブレます。

このカッターはその隙間をなくし刃を固定する機構があるので、革のような厚みがあって切りづらいものでもブレずに切ることができるのです。

包丁(ナイフ)とカッターの大きな違いとして力の入り具合があげられます。

包丁は刃の厚みがありますし、持ち手と刃は常に固定されているのでブレることは絶対ありません。

一方カッターは前述のとおり刃がぶれます。これが革の裁断にカッターが向かない理由の一つだと思います。(力をかけると刃がゆがんでしまい精度よくカットするのが難しい)

このカッターはそれを解決しているので最近僕はアッパーの裁断はこれしか使ってません。(パーツによって包丁を使うこともあります)

研ぐ必要がないということと、刃が小さく小回りがきくというカッターならではのメリットも大きいです。

カーブナイフ

George Barnsley カーブナイフ(スカイビングナイフ)

これは全然使ってないのですが面白いので紹介しておきます。

刀身がカーブしている漉き専用のナイフです。

漉き作業用ナイフ

こういう風に持った時に刀身がカーブしているので刃先が寝て、漉きがしやすいというものです。(指が邪魔しない)

合理的で面白いと思うのですが、結局僕は革包丁の方がやりやすくこのナイフは全然使ってません(笑)

おわり

今回もマニアック全開でした。僕自身は靴作りをする側になってしまったのでわからないのですが、靴好きの中でもここまで興味を持って楽しめる人って少ないんじゃないかと思います(笑)

(僕も靴を作り始める前はここまでの情報には興味なかったかもしれません)

逆に言えば雑誌などではまず書かれることのないことだと思いますので、靴職人だからこそできる発信だと思って引き続き書いていきます。

というのも予想以上にPVが伸びませんので、自分に自信をつけるための言い訳でした。(笑)

読んでくれている方ありがとうございます。近くにマニアック靴好きがいたらこの記事をおすすめしてあげてください。レアすぎるか、、。

ではまた

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (2件)

  • こんにちは。
    靴修理店で働いていて、スキルアップのために最近靴作りを始めたユウヤと申します。
    いつもYouTube参考にさせて頂いています。

    何年も前に先輩からナイフを譲り受けたのですが、保管状況が悪くナイフが曲がってしまったと思っていました。これカーブナイフと言う物だったのですね!
    言われてみれば漉きやすそうな形状をしてますね!今度これで漉いてみます!
    ケンさんと同じく革包丁の方がやりやすいと言ってるかもしれませんが…笑

    • こんにちは。大変ご返信遅れて申し訳ありません。ナイフが曲がることはまずないと思うので(曲がるほどの力がかかったら折れる)カーブナイフでしょうね!なかなか研ぐのも難しく僕は今使っていません(笑)

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