No.024 Old Style Brogue完成レビュー

こんにちは。かわぐつのケンです。

この記事では今回製作したNo.024 Old Style Brogueの完成レビューをお届けします。

今年のナンバーズコレクションは、展示会において展示し気に入った方がいらっしゃれば先着順でその場でご購入いただけます。(会期中は展示し、終了後ご郵送します)

(現地に来られた方優先ですが、遠方の方でご購入希望の方は事前にご連絡いただいた上で(こちらも先着順) 展示会初日の13時までに現地で購入がなければ購入成立とさせていただきます。)

目次

Numbers Collection 2025について

今年の展示会にむけて製作するNumbers Collection は3足

共通するテーマとして「時間とエイジング」を掲げ、それぞれ別なアプローチでそれを表現しています。

革は耐久性が高く、長く使うことができる。そして使い続けるほどに美しく育つ素材です。

革の魅力としてよく語られる「経年変化」という言葉は、ともすると売り手・買い手の双方が、革を説明するための便利なラベルのように扱ってしまいがちな面があるのではないかと、以前から感じていました。

「この革は経年変化して美しくなりますよ」
「経年変化が楽しみです」
「経年変化していい雰囲気ですね」

しかし実際のところ、経年変化という現象には、この四文字だけでは到底言い表せない深さと奥行きが宿っています。

今回の作品群は、革や革靴、そしてビンテージシューズが持つ“経年変化”と“時間”について、改めて考えるきっかけになることを目指しています。

僕自身も、そして皆さんも、その魅力をもう一度見つめ直し、目には見えない「時間」という存在に思いを馳せる機会となれば幸いです。

No.024 Old Style Brogue

No.024 Old Style Brogue

¥396,000 (税込)

サイズ : UK6.5 25cm ワイドラスト(MTOラストとトゥシェイプは異なります)
アッパーマテリアル : Buffalo baby calf
ソール仕様 :
 ハンドソーン製法 インサイドベヴェルドウエスト
シューツリー : 2ピース

No.024のコンセプト

今回製作するナンバーズコレクション3足のうち、他2足がエイジングという部分に重きを置いたのに対して

No.024はノーエイジングで、そのデザインのみで時間を表現しようと試みています。

デザインソースとしては1920年〜30年代のイギリス、クラシックシューズ。

その頃の靴は現代と基本的には同じデザインになっていて、製法も現代とほぼ同様です。

しかしやはりその時代らしさというものが存在し、現代では見ないディテールというのがいくつかあります。そういったディテールや自分の感じるイメージを元にOld Style brogueを製作しました。

※実際ビンテージシューズとしてイメージする多くの靴はマシンメイドのことが多く、ナンバーズコレクションで製作するようなハンドメイドの作り方とは異なると思うのですが、そういったふわっとしたイメージもそのままに、古そうなデザインやディテールを思い浮かべながら製作しています。歴史考証に基づくビンテージの復刻を目指したわけではありません。

アッパーのディテール

革はライトブラウンのバッファローベビーカーフ

No.016の製作にも使用した革の色違いできめ細かな繊細な質感と、水シボが特徴です。

デザインは外羽根フルブローグですが、パーフォレーション(穴飾り)とギンピング(ギザギザカット)がかなり大きいです。実際こういったデザインは昔の靴を見ていると存在し、この大きさの穴飾りをうまくバランスさせていることに感動しました。(中にはもっと大きな飾りのものも存在します)

またミシン糸が細く、細かいピッチで縫われているのも特徴です。昔の靴はなんでこんなに細かく縫ったんだろうと不思議に思えるほど細かいです。

メダリオンの形状も特徴的。簡素なものながら主張の激しいデザインで、一見ダサいようにも見えて見慣れるとかっこいいのが不思議です。

トゥシェイプは丸みのあるスクエア。ビンテージらしい横幅はあるけど縦のボリューム感はない、比較的平たいスクエアです。これがまたダサいようでかっこいい。

羽根はセンターにぎゅっと寄ったイメージで構成され、外ハトメをつけています。現代ではドレスシューズでは外ハトメを基本的につけませんが、昔の靴はドレスシューズでも大きめなハトメが付いていることが多く、個人的にビンテージらしさを醸し出す一番のポイントです。

真鍮生地ほど金色ではないが銀色でもない、くすんだ艶のない質感で、海外から様々取り寄せて手に入れました。そしてそこに通した紐はこれまた昔らしい、少し光沢のある太めの編み紐でリボンのようにも見えます。

素材はレーヨンですが、新品は真新しすぎたので靴紐だけ若干のエイジング加工をしています。

ライニングはアッパーと同じ革(ベビーカーフ)で色違い。艶やかに美しく経年変化する革です。

ソールのディテール

製法としてはハンドソーン、内側のみぐっと絞り込んだベヴェルドウエストです。

当時ものとして考えると、マシンメイドだとするとベヴェルドウエストではないはずですが、手製ならではの造形美を出せる技法としてベヴェルドウエストを採用しています。

ソールのステッチは白。白と言っても黄色っぽいです。

これは当時でいえば糸の素材としての色と、チャン(松脂やロウ)の色などによるものですが、この靴ではそれを再現するべく若干染料で染めています。

普段靴作りに使っている糸(耐久性、縫いやすさで気に入っている)はかなり白く、チャンを塗っても今回の理想の色ほど黄色くならないからです。

この黄色っぽい糸がコバを外側ギリギリを縫っているのが特徴です。

これは当時の機械だとこの位置しか縫えなかったのか、こういった縫い方をするのがトレンドだったのかはわかりませんが、これによって通常よりも張り出したコバと共に独特な雰囲気があります。

またヒールはレザーで釘打ちです。

現代の通常の靴は三日月型にゴムが付いていますが、この時代の靴はレザーに多数の釘が打たれているものが多いです。

この釘打ちレザーヒールは、正直なところゴムに比べて減りやすいですし、歩き心地も良くないです。

しかし釘打ちヒールでしか得られない美しさがあります。最もスリ減るヒール後ろ外側に鉄釘をたくさん打ち込むパターンです。

シューツリー

シューツリーまで含め自分で製作するため、形や色など靴に合わせて様々なバリエーションを持たせられるのがナンバーズコレクションの強みです。

このシューツリーはクラシックで普遍的な仕上げですが、この靴と同様に古めかしさを感じられるものになっています。

最後に

僕の靴好きの始まりには、アメリカのビンテージシューズの存在があります。

なぜビンテージシューズだったのかというと、理由はとても単純で、中古市場に安く出回っていたからです。

しかしその手軽さのおかげで、お金のなかった学生時代に、革靴のかっこよさと履き心地の良さに触れるきっかけを得ることができました。

始まりはそんな理由だったとしても、そこからビンテージシューズを履き、集め続けるうちに、年代推定や今は存在しない多くのブランドへの興味が広がり、知識も自然と積み重なっていきました。それらは結果として、いま自分が作っている靴の確かな礎になっています。

今回のNo.024は、他の二足とともに「エイジング」と「時間」をテーマにした作品群として、これまで培ってきた知識・技術・イメージを結集させて完成させた一足です。
仕上げながら、まるで靴作りの原点 ー そして靴好きとしての原点に一周回って戻ってきたような感覚があり、深い感慨を覚えました。

マニアックな方はもちろんのこと、そうでない方もこのNo.024の持つ普通の靴だけどただものでは無い、

そんな雰囲気を感じ取っていただけるのではと考えています。

ぜひ展示会で実物をご覧にお越しください。

Khish the Work 展示会
 日程:12月5日(金)〜7日(日)の3日間
 時間:11:00-19:00
 場所:東京都渋谷区渋谷1丁目22−5 1F
  渋谷駅から徒歩4分の会場です。

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