今回はキッシュの革靴のno.002の完成記事です。
▼No.001の記事はこちら▼
No.001とno.002は平行して作業を行っていましたのでほぼ同時に完成しました。
底付けはどちらもシングルウェルト、シングルソールでドレスよりなものにしましたがディテールや雰囲気にかなり違いがあるのでそんなところも気にしながら読んでいただけたら嬉しいです!
製作動画
①アッパーを縫う
https://youtu.be/e670zM_7lzM
②木型に吊り込む
https://youtu.be/5-uWf1smmIQ
③すくい縫いをする
https://youtu.be/mw0bopSBceM
④出し縫いをする
https://youtu.be/fvCBxUqLq9k
⑤ソールを磨く
https://youtu.be/9pdLRJDUbvo
完成レビュー
デザインはシンプルなアデレード。
アデレードは内羽根でアイレット周りを囲むようなラインのあるスタイルです。
アデレード部分には親穴と子穴のパーフォレーションを配した靴が多いですが、今回はよりシンプルに控えめな印象を与える子穴のみにしました。
型紙はなかなか贅沢な形でして、羽根のパーツ2枚と、ヴァンプからカウンターにかけてはぐるっと一枚革で取り、計3枚のパーツで構成されています。
さらにかかとの内側に継ぎ目を作ったのでヒールはつるんと継ぎ目のないシームレスヒールとなっています。
内側の継ぎ目部分はアデレード部分と同様に子穴の飾りを入れています。
またヒールは少し高めで、形状は一般的に既成で見られるピッチドヒールの上位とでも言いましょうか、ヒールカップの曲線から繋がるようにわずかに逆カーブしながら底面に向かってすぼまる形状をしています。
この靴の大きなポイントとなるのは同色異素材コンビです。
コンビシューズというと、色違いの革を合わせたり素材違いの革を合わせたりしている靴のことですが、その中で個人的に最もエレガントだと思っているのが
このブラックスエードとブラックカーフのコンビです。
カーフ部分はAnnonay社のVocalou
スエード部分はC.F.Stead社のSuper Buck
タキシードは襟の部分がサテン生地になっていますよね。そのイメージに近いです。
このブラックコンビは、ある意味カーフの靴よりドレッシー度は高いんじゃないかと思うくらい高貴で上品な印象が生まれます。
さらに拍車をかけるように靴紐はサテンのリボン紐でキメました。
普通にロー引き平紐に付け替えてもかっこいいですけどね。
ソールはオークバークのシングルソールで真っ黒ツヤツヤの仕上げです。
ある意味これがやりたいからこその、このアッパーのデザインかもしれません。
つま先には手製の真鍮プレートを装着。コバから覗くゴールドのラインが憎いですねええ!笑
ソールのステッチ(出し縫い)はウエスト部分はベヴェルドウェスト、フロント部分は細かめ14spiに設定です。一針約1.8mmの縫い目はかなり見た目の印象も細かく、エレガントな印象を与えます。
木型はno.001よりシャープな印象です。
ベースとなる木型は同じなのですが、デザインに合わせて少し捨て寸を長く取り、ボディも若干ですが細く削りました。
この靴のサイズは
26.0cm UK7.5
程度です。
No.001と基本的には同じサイズ感ですが、木型はこの靴に合わせて少し調整したため若干細めに感じるかもしれません。
アンティーク仕上げ、黒い平帯紐、真鍮リングで作ったシューツリーと、黒の靴袋。
感想
この靴のインスピレーションのきっかけとなった靴は大きく二つありまして、
JOHN LOBB Paris とMain d’or村田さんです。
ジョンロブはこれまでにいくつかスエードとカーフのコンビのモデルを出しています。少しモダンな印象を与える4アイレットもジョンロブのよくやるデザインの一つです。
また木型は少しポインテッドなラウンドトゥに調整し、ジョンロブパリ含むフランスの靴のイメージに近づけています。
※ジョンロブパリは製造はイングランドですがエルメス資本のフランスのメーカーということで、双方の雰囲気が靴に表れているようで面白いです。
マンドールの村田さんは、この靴に限らず常に目指している僕の尊敬する靴職人の方です。
特にこの靴はソール形状だったりディテールを村田さんの靴のように精緻に美しく仕上げたいという思いが強かったです。鏡面のカラス仕上げもまさにそれです。
ロブパリ(ビスポークも含む)もマンドール村田さんも間違いなく最高峰の職人ですが、この靴を作ったことでわずかにその領域に近づけた気がします。
次はもっと近づきますよ!待っててください!
村田さんとジョンロブの職人さん!笑
というわけで次の3と4の製作も引き続き全力で頑張っていきます。
ではまた。
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