こんにちは。革靴のケンです。
以前こちらの記事でこれまでに作った靴の紹介をしました。
今回はその続きの11~20足目を紹介します。
時期としては2020年の9月から2021年3月ごろまでの製作になります。
作った靴たち
11足目
友人に作ったグルカサンダル
九月末で夏も終わりかけでしたがサンダルを作りました。
前回の記事で自分用に作ったサンダルらしき靴を紹介しましたが(アザラシ革の)
全然涼しくはなかったので、今回はしっかりグルカサンダルらしく肉抜きしたアッパーを作りました。
革はフランスの有名バッグメーカーの使っていたものが入手できたので使ってみました。
バーガンディーの型押しレザーです。
バックルには真鍮のものを使いました。製作中から酸化してどんどんくすんでいって完成時にはすでに味が出ていました。
踵やつま先の芯は普通の革靴と同じものをいれているのでかなりしっかりしています。
マッケイ製法。
夏には裸足で、秋には靴下で履くのも良さげ
12足目
ノルウィージャンウェルトのチャッカブーツ
母親に作ったチャッカブーツです。ノルウィージャンウェルト製法を未経験だったので練習のために挑戦した靴です。
女性用ですが、軍物からインスピレーションを受けかなりごつめに作りました。
ノルウィージャンウェルトにはギザと目付をしっかりいれ、そこに掬い縫い糸と出し縫い糸が乗っています。
ソールは前方のみダブルソールになるハーフミッドソールにしてみました。いろいろ実験です。
かなりロックな雰囲気です。目指していたのはまさにこの雰囲気でしたが、母親にはちょいとやりすぎた模様。。。
13足目
手染めのコインローファー
一般的にローファーと紐靴では木型が異なる場合が多いです。
紐でフィッティングできない分ローファー木型は難易度が上がります。
製靴を始めて一年弱、そろそろ頃合いかと思いローファーに挑戦しました。(ローファー早く作りたかった!)
生成りの革を自分で染色し、明るい色の中にアンティーク調のニュアンスを持たせました。
ヴァンプ部分は飾り縫いのスキンステッチで、ソールの出し縫いは白ステッチ。といつも通り初めてのことばかり組み込んで挑戦しました。
スキンステッチはアッパー製作中に片足失敗し、染めからやり直すという惨事になりました。
そのときは絶望しましたね笑
縫い目も糸目の雰囲気も今見ると全然だめな感じですね、、。
ちなみにローファー木型はかなりしっかり試作したつもりだったんですが、うまくいきませんでした。
14足目
シボ革のダブルモンク
妹に製作したダブルモンクシューズ。
ダブルモンクは初挑戦でした。バックルで固定するというのは紐靴より少し難易度が上がります。
さらに妹の足はかなりの偏平足だったので、木型製作とアッパー製作に難儀しました。
シボ革(型押しではない)の雰囲気に合わせて、ソール周りと木型を少しボリュームのある印象になるよう作りました。
かっこよさと可愛さを同居させたつもりです。
仕上がりはなかなかうまくいったんですが、木型はもう一歩。
後にフィッティング調整をすることになります。(いまだにしてる)
15足目
ノルベジェーゼダービー
以前こちらの記事でマクロレンズで観察したダービーです。
型押し革を使いエプロンダービーをつくりました。
底付けはノルベジェーゼ製法で、掬い縫い、出し縫い1、出し縫い2、の計三本の縫い目が華やかな印象を与えます。
ノルベジェーゼ製法は掬い縫いがアッパーの外側に見えると言う特徴があります。
その掬い縫いには飾りの糸を絡めてチェーンステッチのようにすることが多いです。
この靴では細く切った革をジグザグに絡ませて独特の雰囲気を出しました。
ドイツの靴メーカー、ハインリッヒディンケラッカーにも革の紐を絡めながら掬い縫いをする「ツォプナート」と言われる製法がありますが、それとはまた少し違ったやり方です。
16足目
激細ウエストのストレートチップ
ドレスシューズの技法に「ベヴェルドウエスト」というものがあります。
靴底のウエスト部分の出し縫いを隠し、形状を細く絞ることで、ドレッシーかつエレガントに見せる方法です。
この靴はその極限とでもいうのでしょうか。いかに細く絞ることができるのかに挑戦してみました。
普段は、気持ちウエスト絞り気味のベヴェルドウエストを作ると、ウエストの一番細いところで6cm前後になることが多いです。が、この靴は3cmを切りました。
正直めちゃくちゃ作りにくかった!
この靴は片足しか作っていないので履く靴ではないのですが(練習用というか置物)
しっかりウエスト部分も出し縫いをかけてあります。
ウエスト部分の出し縫いと掬い縫いが気が狂いそうになるくらいめんどくさかったです笑
シンプルでスタンダードなアッパーデザインに変態ソールをつけてみました。
革はイタリアのインカス社のカーフで、異常に光沢感があります。
この靴の木型は、履き心地とか、誰かの足に合わせるといったことは一旦無視して、形状のみ理想的なものを追求してみたものです。ドリーム木型と呼んでいます。
この靴を作ったのが2020年の11月ごろで、
今年の春あたりからドリーム木型ver2の靴を製作中なのですが現在製作ストップしております。
17足目
上手くいかなかったローファーに再挑戦です。
クロコダイルを使うならローファーと常々思っていたので、昔手に入れていつか使おうと思っていたクロコダイル革を使いました。
フルサドルストラップに飾りモカ縫いのデザインです。
ソールはウエストウッドネイルに挑戦。
外観からはわからないのですが色々特殊なつくりをしていまして、木型が普通ではないです。
気になる方はこちらの動画をご覧ください。
普段クロコダイル革はほとんど使うことはないですが、(というかこの靴でしか使ったことないです)
製作中に革から発されるオーラがすごかったです。
18足目
姉に作ったブラックのブーツです。
アッパーはスエードとカーフのコンビ使いのUチップ。同色異素材のコンビってオシャレです。
女性用ということで少し全体的に丸みというか柔らかい印象を持たせました。
このころからソールの仕上げがかなり様になってきて、ソールの仕上げも一段と熱が入るようになってきました。
丸みを帯びたカラス仕上げのソールに飾りのラインを入れてあります。
ショートブーツの製作はこれが初めてでした。
ブーツ製作の場合、足首まである木型を使う場合と、短靴の木型に乗せ甲と木型軸というアタッチメントパーツを取り付けて作る場合があります。今回は初ということでアタッチメントを取り付けて製作しました。
足首まであるブーツ木型はまだ研究中です。
19足目
シルバノラッタンジのリメイク
この靴は紳士靴最高級といっても過言ではないイタリアの巨匠シルバノラッタンジの靴です。
20年ほど前のシルバノラッタンジでして、かなりコレクションとしての価値も高く、デザインも超気に入っていたのですが、
どうしても足に合わずなかなか履く機会がありませんでした。
だったら自分の足に合わせてやろうということで、全部解体しました。
こんな風に。
さすが高級靴なだけあって、いい材料を使っていました。
こんなに綺麗にそれぞれの部材に分解できるのはそのおかげです。
これを自分の足に合わせて作った木型に吊り込みなおし、靴の形に戻しました。
色々なトラブルもありつつ何とか復活させることができました。
事情によりハンドソーンウェルテッド製法からノルウィージャンウェルテッド製法に変わっています。
ソールのボリューム感がアップしているのがわかると思います。
他人の作ったアッパーを使って靴を作ってみて分かったのですが、
やはり自分で1から作るのとはまた違った雰囲気があるんですよね。
それがいいのか悪いのかは別として、このプロジェクトはとても興味深いことだらけでした。
ちなみにこれってシルバノラッタンジとのコラボしたことになるのかな、、?笑(勝手にコラボ)
20足目
最後は今年2月ごろに完成したレイジーマンです。
ダイヤモンドキャップのレイジーマンです。エラスティックの蛇腹周りのデザインはオリジナル。
バーガンディーのカーフを使ったクラシカルな雰囲気の靴でなかなか色気があります。
ソールはダークブラウンでカラス仕上げに飾り入り。
イミテーションレース(飾りの靴紐)は共革です。
コバの目付は通常と異なり斜めに入れてあります。
ウィーンの工房でやっているのをたまに見かけるディテールで、一目ずつ手作業でギザをつけていきます。
「シュトパライ」というそうです。
赤系の靴はまた違った雰囲気が出ていいですね。
おわり
以上11足目から20足目までを紹介しました。
1足目から10足目に比べて、作れるものやできることの幅が広がってきたので、好奇心の向くままに色んな実験をしていました。
そのおかげで結構失敗もあるのですが(特に自分用の靴はすごく大胆な挑戦をしがちなので)そこで得られた知識と経験は今、かなり生きている気がします。
最近はこれまでに得た技術を固めて、精度を上げている段階ですが、そろそろまた大きな実験をしたいなあと思う今日この頃です。
それではまた。
コメント
コメント一覧 (2件)
初コメントです!
シルバノラッタンジのリラスト動画が、色々学べて何度か見返してしまいます!
お姉さんのブーツ、Khish No.2を見て同色のコンビをいつか履いてみたいと憧れてます
No.3以降も動画楽しみにしてます!
コメントありがとうございます!
またリラストや修理などもやりたいと思っています。
同色コンビオシャレですよね、黒もいいですけどダークブラウンのコンビもそそります、、。
動画、ブログともによろしくです。