毎週火曜日に私、菱沼乾と
動画にもたびたび登場している、私が靴を作っている中学からの友人、二階堂とで行う
「革靴に関するおはなし」を投稿しています。
ざっくばらんに対話形式で投稿させてもらっております。
対話内容についての不明点などコメントしていただければ回答します!
また、トークしてほしい話題などありましたらどしどしコメントください。
できる限りコメントの内容もやっていけたらと思います!
今回は、日を改めて革靴の理想のシワについて「おはなし」していきます。
H:菱沼(ケン)
N:二階堂
理想のシワについて
N:今日は靴の履きシワについて聞いてみたいんだけど理想的なシワの入り方ってあるの?
H:靴の履きシワね笑
なかなかマニアックだけど靴を語る上では大事だよね。特にコードバンの靴はその辺顕著だったりするかもな。オールデンのコードバン靴を履いてる人は履きシワはかなり重要なポイントだろうな。
N:靴ごとにも違うんだ。
H:うん、コードバンについてはまた後で話すとして、
一般的にアッパーの革は大きく分けてクロム鞣しとタンニン鞣しがあるんだけど、タンニン鞣しのほうが形状記憶力がつよいというか、革の可塑性が高いんだよね。
N:革の質として固いから、とかが理由なのかな。
H:そうだね。僕も革の組成的なことは詳しく理解できてないんだけど、タンニン鞣しのほうが履きジワがくっきりしっかり入りやすいかな。
レザーソールを思い浮かべてもらえばわかりやすい。ウェルトの目付けや、ウエストのフィドルバック等はタンニン鞣しの可塑性を利用して彫刻のような造作が可能になっている。
クロム鞣しは柔軟性もあるし、元の状態(鞣した平滑な状態)に戻ろうとする性質があるから屈曲時にはシワが入って、戻すとシワは目立たなくるかな。
まあこれはタンニン鞣しに比べればってだけの話だし、クロム鞣しも何度も屈曲すればそれだけ深く入っていくけどね。
N:なるほど。
H:でも偉そうに言ってるんだけど、正直自分でこれはコントロールしきれてない。
N:コントロールしきれてないというのは?
H:革質や厚み、種類、鞣しの違い、フィッティング条件などなど、全て考慮した上での理想の履きジワを入れられるところまで到達できていないって感じかな。
N:そもそもできるものなの?
H:たぶん、完全にはできないと思う。
N:そうだよね、つり込みにしたって素材によっても全く異なってくるだろうし。
H:そうそう、でもこれはわからないけど、本当にすごい人は木型のフィッティングとか革質とかから履きシワまで計算してアッパーとライニングの組み合わせとかを考えるんじゃないかな。
N:ライニングとの組み合わせでシワのコントロールができる可能性もあるのか。
H:そう、それもある。
僕もアッパーとライニング、サイドライニングの組み合わせは靴ごと、革ごとに応じてある程度調整してるけど、それは履きジワのためにというよりは、履きやすさや足あたりの良さのために「靴の厚み」を調整するって感じかな。
その他に履きシワの入り方の要因としては、吊り込みの時にどのくらい引っ張るか、力加減にもよると思う。
あとは、革の部位によってアッパーのパーツの取りを決めるとか。このパーツはこの部位から取る、みたいにね。
実際、裁断時にどの部分にどの方向で型入れしようかっていうのは考えながらやるんだけど、要素が多すぎて完全は把握しきれていないというか。
N:そうだよね、複雑だし考えきれないくらいありそう。
日を改めて1回目は以上となります。
次回は、シワ入れとコードバンの特徴的なシワについて「おはなし」していきます。
是非来週もご覧ください!
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