革靴に関するおはなし。 第3回-② ヴィンテージシューズの保湿について

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毎週火曜日に私、菱沼乾と

動画にもたびたび登場している、私が靴を作っている中学からの友人、二階堂とで行う

「革靴に関するおはなし」を投稿しています。

ざっくばらんに対話形式で投稿させてもらっております。

対話内容についての不明点などコメントしていただければ回答します!

また、トークしてほしい話題などありましたらどしどしコメントください。

できる限りコメントの内容もやっていけたらと思います!

前回に引き続き、革靴の手入れの頻度や方法について「おはなし」していきます!

H:菱沼(ケン)
N:二階堂


目次

グリセリン保湿について

H:つやが失われてきている、だったり光沢に深みがないだったり
あとは触ってカサカサしているってのは手入れが必要な靴の特徴かも。

N:しっとりしてない感じね。

H:そう。特に今までヴィンテージシューズを良く買ってたこともあってそれは結構体感したな。

というのも、ヴィンテージシューズって放置された靴の極みじゃない。何十年と。

N:そうだね。履かれてないからヴィンテージシューズとして残ってるわけだしね。

H:そうだね。まあ手入れされてエイジングしているヴィンテージシューズもあるけど、かなりきれいなやつとかは60年何も手入れされず箱に入っていたものとかもあって、乾きまくってる。

N:そういうのも復活するものなの?

H:復活はできるものとできないものがあるけど、買って最初に触ると本当にカッサカッサしている。

N:手入れしたらそうならないんでしょう?

H:そうだね、手入れの直前はカッサカサでわかりやすい。(意外と見た目は全然なものもあったりする)
冬の自分の乾燥肌みたいな感じでカサつくね。

N:なるほど。

H:手入れすれば保湿はできるんだけど、ヴィンテージシューズはまじでがっつりいかないと普通の靴と同じレベルまで全然行かない。

N:がっつりいくっていうのはクリームの量ってこと?

H:それがちょっと話はずれてくるんだけど、ヴィンテージシューズの界隈では強力な保湿の方法があるんだよね。グリセリン保湿っていうんだけど。

N:グリセリン、ほう。

H:薬局とかで売ってるグリセリンを、ちょっと水で薄めてティッシュに含ませて靴全体に塗布する。そのあと水分が蒸発しないようにラップでくるんで放置する。

左上:保湿前 左下:保湿中 右:保湿後磨き完了

N:グリセリンって油分だっけ?

H:グリセリンって油分…何?
油分かな、べたべたするし。

(検索中)

グリセリンとは、アルコールの一種である。

N:へえ~、アルコールなんだ。

(石油から精製されるものと、椰子の実などから作られる天然グリセリンがあるが、薬局に多く売られているものは石油精製)

H:そうだね、グリセリンはヴィンテージシューズに試すとめちゃくちゃもっちりする。

保湿剤としての用途は元々あるからね。肌に塗ったりするじゃない。

化粧品とか食品添加物に使えるみたい。もっとも古くから用いられてきた保湿剤の一つなんだってね。

N:なるほど、効果は確実にあるんだろうね。

H:で、普通の靴にグリセリンを使うとやりすぎになっちゃう。めちゃくちゃべたつく。

でも一回やってみるのは良いかも?ちょっとだけとかなら。

N:この靴はカサカサ過ぎるなっていう場合とかかな。

H:うん、最近手入れしていないな、ってやつに水で結構薄めてグリセリンを入れてみるとか。(自己責任でお願いします)

保湿されるってここまでか!ってなる。

N:どうしようもないときに効果的なのね。

H:そうそう。革の乾燥具合を確かめる上で、保湿された状態とカサついた状態をどちらも知らないと自分の中で判断が難しいじゃない。相対評価をするから。

N:確かに。

H:だから、手入れもされていなくて乾燥している革を触ってみて、そのあと手入れされている革を触ってその見た目と触り心地の差を体感してもらって経験として持っておくのが重要なのかな。

質問の答えになってない気がするけど。

N:とはいえ確実に必要なことだよね。

H:そうそう。靴作りも手入れも経験して考えることは確実に重要な要素の一つだもんね。

N:そうだね。

油分が多いかどうか、についてはどうかな。

H:油分が多いかどうかは、光沢の有無と質感で判断できることがあるよ。

N:なるほど。油分が多すぎると光沢は減る?

H:そうそう。グリセリン保湿のやりすぎの時にも言えることなんだけど、油分が革に入りすぎてると革の繊維が膨張する感じがある。べたつくし。

N:じゃあブヨブヨになるってこと?

H:そう、ブヨブヨになる。

N:それはこわいね。

H:実際あるんだよね。ミンクオイルを入れまくったレッドウイングのブーツとか。

靴修理やっていた時に見たことがあるんだけど、ベッタベタでブヨブヨ。型崩れしまくってた。

オイルを入れすぎた靴
引用元(https://repairgarden.com/blog/?p=2404)

N:それはブヨブヨになったから修理に出したってこと?

H:いや、それは関係なくヒールの修理だったけどね。

ブーツだとオイルアップみたいなのがケア方法としてあるから、やりすぎちゃってそうなってるんだろうね。ブーツを愛してケアをしまくったあまり、オイルを塗りすぎてしまった。

ただ、艶が出なくてブヨブヨになるだけで革として見た時に悪い状態ってわけではないとは思う。

艶が出なくてじめっとした感じになるから気持ちいいものではないし、汚く見えるし汚れを吸着しやすいから靴としては良くないけど。

N:好みによってそれをやる分にはまあいいけど、艶は出ないってことね。

H:そうだね。ただ普通に手入れしている分にはオイル多めになりようがない。

ミンクオイルをガンガン入れてるとかだったら油分過多になるけど、普通に乳化性クリームとか油性クリームを使ってる場合はなかなかそうはならないと思うよ。

ミンクオイルも塗りすぎなければ普通に手入れしているだけなら革の中に油分はそんなに入っていかないからね。

N:なるほどね。


第3回-②は以上となります。

次回は、革靴の汚れと色落ちについて「おはなし」していきます。

是非来週もご覧ください!

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