こんにちは。かわぐつのケンです。
この記事では今回製作したNo.012 Cordovan Over full brogue の完成レビューをお届けします。
No.012の抽選応募フォームはこちら↓(応募締切は11月20日23:59まで。当選発表は25日頃を予定)
https://docs.google.com/forms/
今回展示する靴はNumbers Collectionはすべて抽選を行いまして、当選された方がご購入いただけます。No.007~014すべてにおいて以上の通りです。
その他のナンバーズコレクション2022の完成はこちらから↓
No.012 Cordovan Over full brogue
No.012
Cordovan Over full brogue
¥318,000
サイズ : 27.0cm UK8.5相当
アッパーマテリアル : コードバン(レーデルオガワ)
ソール仕様 :
ハンドソーン製法
シングルソール
トウコッパー(鎚起銅)
シューツリー : 3ピース 鎚起銅プレート マグネット仕様
Khish史上最も豪華絢爛な靴です。
フルブローグはfullというようにすでにbrogueが満杯です。
quarter brogue→semi brogue(half)→full brogue
と、三段階の最上に位置する装飾をされたのがフルブローグですが、そこにさらに装飾を足しフルブローグを超えました。
(正直やろうと思えばもっと装飾できますが、それはまたの機会に笑)
アッパーに使った素材はコードバンですが、僕はコードバンを使うときにいつも革の生かし方を考えます。
No.009のコードバンは解説した通り、もっとも革の質感を贅沢に味わえるもの。
No.012ではブローギングをすることによってでる革の立体感と断面との色のコントラストを狙いました。
コードバンは厚みがあるのと、穴を開けた時にカーフと違ったぷっくり感があるのが特徴です。
また、今回の革は表面はグレー(少し緑がかって見えます)で、断面は染まっていないベージュだったので、穴の数や、革の継ぎ目を増やすほど、そしてギンピングで断面積を増やすほど、ベージュの見える面積が大きくなり装飾的になっていきます。
そのためNo.014は飾りを多くするだけではなく、パターンも通常のフルブローグと異なったものになっています。
靴の中央のパーツはサドルシューズと同じ形状になっています。通常羽根のパーツは、その前のパーツ(バンプパーツ)の下に潜り込むような形になりますが、この靴では逆転して、羽根のパーツが覆いかぶさるような形になっています。
そしてそこに銅の外鳩目。銅とこの靴は色合いと相性がとてもいいです。
全体に施されたブローギングに加えて踵とつま先には大きなメダリオンが入っています。
メダリオンは多くの場合つま先に入っているだけですが、この靴はつま先のメダリオンをサイドまでのばしており、踵のカウンターパーツにもメダリオンを入れています。
パターンでもフルブローグの装飾を超え、メダリオンも超えるからこそオーバーフルブローグです。
底付けはシングルソール、ダブルウェルト。
ダブルウェルトは重厚感とカジュアル感が出ますが、個人的にはシングルソールではそのバランスが取れないきがしてよくダブルソールにします。しかし今回はダブルソールでは重厚感が出すぎてドレス感を保てないと感じたので、
厚めのソールを使ったシングルソールにしました。ソールの厚みは7mm近くあります。
そしてウェルトには粗めのウィールをかけています。この粗目ウィールの表情はかなり好きで、今回8足の靴の内3足がこの8番ウィールを使っています。
ソール底面はオレンジみを帯びた茶色に染め、つま先には槌起銅器仕様のトウプレート。銅板から切り出し打ち目をつけています。
シューツリーは特別なものです。
3分割タイプの磁石内蔵型で、靴から取り出してもくっつくので、木型の形で置いておくことができます。
そしてトップには銅プレートを蓋のように取り付けています。こちらも槌起銅器仕様。
これももちろん切り出して曲げてひたすら叩いています。数千回は叩いていると思います。
(腕がもげそうになったことお察しください笑)
銅は素のままだとサーモンオレンジに近い色合いなので、いぶして黒みとコントラストを増しています。
靴自体の重厚感や装飾をさらに引き上げるものとしてシューツリーも装飾しています。
そしてこの靴の磨きは静岡のY’s Shoeshine 杉村さんにお願いしました。
杉村さんによるとコードバンなので光らせようと思えばもっと光らせることはできる。しかしこの靴の質感をいかし、そして履くのにも馴染むようなやりすぎない光沢感を目指した、とのことで
十分光沢は出てはいますが、つやつやというよりは金属光沢のような鈍くじわっとした輝きが出ています。
元々のコードバンの色味や装飾に輝きがプラスされ、金属や石の装飾物のような雰囲気を醸し出しています。
No.009とは全く違った方向性のコードバンの生かし方ですし、迫力と一口に言ってもNo.008の迫力とはまた違った方向性の迫力が出ています。
ぜひ展示会でそれぞれの靴の魅力、個性を味わってみてください。
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